オンライン対応のグローバルスタンダード化シリーズ、今回は「エンタメ」に関するオンライン対応についてです。
特に、演劇や映画館など三密を避けることが難しい場所では、上映に限らず制作自体が困難とも言われています。
私たちにとっては、楽しみだった娯楽の一つがなくなってしまうのは大変残念なことですが、それ以上に困っているのは俳優などエンタメ界で活躍している方々かもしれませんね。
日本エンタメ界での感染事例
演劇界での感染拡大が相次いでいる
舞台は、6月30日から7月5日に劇場「新宿シアターモリエール」で上演された「THE★JINRO イケメン人狼アイドルは誰だ!!」。主催のイベント会社「ライズコミュニケーション」のウェブサイトによると、全12公演で感染者が発生し、15日までに出演者17人、スタッフ8人、観客34人の計59人の感染が分かった。
出演した俳優山本裕典さん、原案を担当した映画コメンテーター有村昆さんらも陽性反応が出たことを公表。感染者は東京、神奈川、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城で確認、ほかに愛知、島根、長野でも確認された。
(東京新聞 より)
新型コロナウイルスに感染した俳優、横浜流星さん(23)が出演予定だった舞台「巌流島」の全公演中止が29日、公式サイトで発表された。
「巌流島」は横浜さんと伊藤健太郎さん(23)の主演で、新型コロナ感染拡大で当初の予定を変更し、8月6~11日の東京・明治座を皮切りに各地で公演が行われることになっていた。しかし、横浜さんの感染が判明し、東京公演は中止に。名古屋、高松、大阪、福岡での公演は未定となっていた。
(毎日新聞 より)
世間の声は?
演劇界に関する世間の声を調べてみると、このような投稿が多く見られました。
稽古場でクラスターって、みんな言うてるように職場内クラスターとかわらんやん。職場内でクラスター発生しても会社そのものが潰れることは考えにくいし、潰れたら大騒ぎになるだろうけど、演劇なら公演がとぶだろうし下手したら劇団も吹っ飛ぶし多分さらに叩かれる。
ウイルスは差別しないのにね。
— む た っ ち (@mutacchi) July 31, 2020
稽古場も劇場も夜のお店も、そこで働く人達にとっては『職場』だよね。
なんかわざわざ演劇関係者とか夜の街関係者とか言わなくても良いと思うなぁ。皆さん言ってるけど、職場内クラスターで良いじゃんね?
娯楽、エンタメは悪いことじゃないと思うけどな(-_-;)
コロナめ。
— ノア (@LOVECAT_NOA) July 31, 2020
「演劇関係者」という言葉を使うことで、今後のエンタメ界に悪影響を及ぼすことを不安視しているメッセージが多くありました。
調べてみる前は、「コロナのせいで演劇に行けない!」「きちんと対策しているの?」と批判的な意見が多く寄せられているのかなと考えていましたが少し違ったようです。
特に、日頃から演劇界を応援している方々にとっては、今後の演劇界を心配している人が多く「演劇全てがダメ」とも捕らえられかねないニュースでの取り上げられ方に疑問を持つ声が目立っていました。
エンタメ界オンライン化の課題とは?
演劇以外でも、ライブや映画、アニメの中止・延期も相次いでいます。
映画やアニメはリモート・オンライン化できないの?
映画やアニメの編集と言えば、パソコンに向かっている姿を想像しませんか?
デザインや色付け、音声の入力などはリモート勤務でも仕事が進むのではないかと思っていました。
しかし、現場では様々な課題があるようです。
- 多くのアニメ会社は動きの基本となる原画を日本で制作し、人手のかかる動画の制作を中国などに発注
- ベテランアニメーターの多くはデジタルではなく、紙とペンの方が慣れているため、スタジオでの作業の方が、効率がいい。デジタル機器を使いこなせる人は、業界全体で20%程度
- 「アフレコ」にも問題が生じました。1つのマイクを数人で取り囲んで収録するため、感染リスクが高い
(参考:NHKニュース おはよう日本)
今、アニメの現場に何が起きているのか。音響制作会社スタッフは、こう話す。
「緊急事態宣言以降、アニメの収録関係はほぼ行われていない状態です。というのも日本音声製作者連盟(通称:音声連)と日本声優事業社協議会(通称:声事協)というアニメ制作に関わる2団体より、収録を控えて欲しいという通達があったからです」
(ライブドアニュース より)
確かに、どんなに良い作品が出来上がったとしても、登場人物の声がなくては作品は完成しませんよね。
今後は集団収録ではなく、個別に音声を録る方法を検討しているそうです。
演劇界での新しい取り組み
新型コロナウイルスの感染拡大でエンターテインメント業界が打撃を受ける中、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使って演劇を発信する「劇団ノーミーツ」が四月に発足した。
短編動画が約一千万回再生されるなど、注目を集めている。主宰者の一人、広屋佑規さん(28)は「自粛が求められる中でも、面白いことはできる」と話している。
(東京新聞 より)
演劇界では欠かせない稽古や撮影を、自宅からオンラインで全て行い、撮影自体もビデオ会議アプリを使って行っているそうです。
もちろん、通常の舞台稽古に比べると、間の取り方や演出など困難な点も多いかもしれませんが「少しでも面白いものを届けたい」という演劇関係者の熱意が伝わってきますよね。