前回ビジネス・フレームワークの記事でご紹介した「PDCAサイクル」ですが、最近では「OODAループ」というフレームワークも取り上げられることが増えてきました。
PDCAサイクルが主に業務改善で利用されるのに対し、OODAループはこれまで自分が経験したことのない課題に向き合うときに役立つようです。
今回は、この『OODAループ』について詳しくみていきましょう。
PDCAサイクルとOODAループの違いや、使用するときに注意したいポイントもまとめてみました。
「OODAループ」とは?
まずは、OODAループの意味をチェックしましょう。
- Observe(観察):自分以外の外部状況に関する「生のデータ」を収集する
- Orient(適応・方向づけ):観察し、得たデータをもとに情報整理・方向性を決める
- Decide(意思決定):どのように行動するかを決定する
- Act(行動):意思決定に基づいて行動する
PDCAサイクルと比べると、「Observe」「Orient」などは聞き慣れない言葉かもしれませんね。
PDCAサイクルは自分の計画からスタートするのに対し、OODAループは情報収集から始まります。
「OODAループ」の具体例
PDCAサイクルと同様に、具体例を見てみましょう。ビジネス編・プライベート編ともに、PDCAサイクルで挙げたものと同じ目標を使っているので行動を比較してみるのも面白いですよ。
ビジネス編
目標:契約を1日1件獲得したい!!
- Observe(観察):営業の上手い先輩は、1日20件も新規企業を訪問して毎日5件も契約を得ている。
- Orient(適応・方向づけ):契約を1件獲得するのに、最低4社は訪問する必要がありそうだ。
- Decide(意思決定):1日1件獲得したいので、まずは4社訪問を継続しよう
- Act(行動):毎日4社ずつ訪問を行う
プライベート編
目標:ダイエットして、5キロ痩せたい!!
- Observe(観察):毎日3食好きなものを食べ続けたら、月に2キロペースで体重が増えた
- Orient(適応・方向づけ):5キロ痩せるには、まず2ヶ月半は食事コントロールが必要かも
- Decide(意思決定):夕食をヘルシーなものに変えてみる。そこで体重をチェックしながら調整しよう
- Act(行動):体重を見ながら食事コントロールを行なっていく
「OODAループ」の注意点
どんなビジネス・フレームワークにも、デメリットや注意点があります。
主なOODAループの注意点を3つご紹介しましょう。
1.Orient(適応・方向づけ)が決め手
#OODAループ は(直感ではなく)直観で脊髄反射行動ができるまで鍛錬すると圧倒的な生産性を上げられるようになります。
OODAループは全戦全勝だった宮本武蔵が残した日本の兵法を由来とし米軍が体系化した思考法です。
理屈でなく実践で結果を出す思考を持つ必要があります。#OODAマネジメント— 入江仁之 (@IRIE_Hiroyuki) August 20, 2020
「方向づけ」と聞くと一見かなり抽象的なように感じますが、OODAループではここが肝心だと思います。
例えば、同じものを見ても方向づけは人それぞれですよね。どんな人や事例を観察し、その結果から自分がどのような方向づけができるのかが大切です。
OODAループを繰り返し使っていると、自分の方向づけに偏りやクセがあるかもしれません。ぜひ繰り返し実践しながら、自然と生産性を上げられる思考力を身につけたいですね。
2.使い分けが大切!
OODAを使うのが良い場合と、PDCAサイクルの方が適している場合があります。
- PDCAサイクル:繰り返し行われるルーティンワーク。業務の工程に変化が少ないもの。
- OODAループ:今までに実践したことがない業務。過程が常に変化するもの。
「これからの時代は、OODAだ!」という意見もわかりますが、PDCAサイクルが役立つ場面もまだまだ多いはず。
特に、情報や工程に比較的変化のない行動や、繰り返される業務の場合は、PDCAサイクルが良いこともあるんですよね。
より多くのフレームワークを知り、どれを活用するのが良いか見極めることができれば、業務がよりスムーズに行えるでしょう。
3.行動までに時間をかけすぎない
最後は、実際に行動を始めるまでにあまり時間をかけすぎないことです。
PDCAサイクルやOODAループどちらにも言えることですが、両者は行動が後ろにずれてしまいがちです。
特に、OODAは最終ステップが「行動」であるため「状況把握だけで終わってしまった」「なかなか意思決定ができず、前に進めない」といった状況に陥ることが多いでしょう。
大切なのは、このループを最速で繰り返し行うことです。最初から完璧な計画や意思決定ができると思わず、自分の中で期日を決めながら取り組むことが大事になってきますよ。